労災保険2
通勤経路とみとめられるかがポイント
労災保険の給付を認められるには、労働災害の要件を満たす必要があります。労災保険の給付は、通勤災害と業務災害2つに分けることができ、それぞれに給付要件のポイントが違います。
通勤災害とは、通勤の途中で起きた事故により、労働者が負傷、障害、死亡してしまうことを指します。給付を受けるには、通勤の途中であるか否かがポイントになります。
通勤とは、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいう」と、労災法7条2項に定義されています。そのため、「通勤の途中」という定義はとても細かく定められており、合法的な経路を通っていない場合は、給付を認められない場合があります。合法的でない経路とは、日常生活に必要のない経路の中断行為、つまり寄り道などのことを指します。これに該当する場合は給付を認められません。日常生活上のやむを得ない行為については、通勤の途中と認められます。例えば、帰宅途中に病院に寄って診察を受ける行為などです。会社帰りに同僚と食事をしたり、飲酒をした場合は、通勤中の事故と認められることは難しいでしょう。認定されなければ、給付を受けることができません。
事業主の支配下にあるか否かがポイント
業務災害とは、業務により労働者が負傷、疾病、障害、死亡してしまうことを指します。負傷に関して給付が認められるポイントは、事業主の管理下または支配下にあったか否かと、業務に従事している最中であったか否かです。
管理下にあるとは、事業所にいる間の時間を指します。支配下にあるとは、残業時間を含む勤務時間中や、その前後、事業主の指示で出張に赴いた場合などを指します。業務に従事している状態とは、残業時間を含む勤務時間中で、私的行為をしていない時間です。例えば休憩時間中は、事業所内で過ごしてはいても、私的行為となります。その時間中に起こった事故については、事業所施設の管理不備が原因とした事故などの場合のみ業務災害と認められます。
過労死や自殺に対しても支払われる場合がある
業務上の疾病に関して、給付が認められるポイントは、業務が疾病の原因と証明できるか否かがポイントになります。この因果関係の証明は非常に難しいもので、認定を巡り裁判になることもしばしばです。
近年では、アスベストによる健康被害が、実際の業務からかなり時間が経過して労働災害と認められました。アスベストを扱う業務に最近まで従事していたり、既にその仕事を退職している場合でも、労災保険の給付を受けることができます。被保険者の家族に対しても、検診を受けられるなどの保障がおこなわれています。
近年、過労死や自殺などの、仕事との因果関係が薄いと思われるものでも、事業主の支配下にあるものと判断された場合、遺族に労働保険が給付されるケースがでてきています。ただし、過労死や自殺などは仕事との因果関係を示すことが難しく、労働災害と認められるケースはごく少数です。過労死や自殺などと、業務の因果関係を争う裁判は、現在も多数おこなわれており、知識や理解も深まってきています。
